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旦那の元妻に愛人と見られて殴られ、私は流産した
旦那の元妻に愛人と見られて殴られ、私は流産した
著者: 為貝瑞樹

第1話

妊娠末期に入ると、私のお腹はまた一周大きくなり、体はますます重くなってきた。

夫が私に仕事を辞めて、家で出産に専念するように言った。

その日、彼はちょうど外に出たばかりの時に、玄関から鍵を開ける音が聞こえた。

私は夫が何かを忘れたかと思い、大きなお腹を抱えてドアを開けに走った。

しかし予想外なのは、家に来たのは派手な服を着た巻き髪の女だった。

私たちは視線を交わした瞬間、ふたりとも身が固まった。

「あんた誰?どうしてあたしの家にいる?」

彼女が家を間違えたと思って、親切心から言いかけた。

「ここは5-102ですが、どなたをお探しですか?」

私は反応する前に。彼女が腕を振り、私の顔にパンチをくらわせた。

私は打たれてよろめき、身体が不安定になり、地面に転びそうになった。

「あたしの家に居候して、あたしが誰かって知らないわけ?」

「あたしがちょっと出かけた隙に、愛人のあんたがすぐに住み込んできたのね」

彼女は私に説明する機会を与えず、袖をまくり上げ、左右に拳で私の顔を打ち叩いた。

お腹の子に当たらないように身をかわしながら、「人違いです!私は愛人なんかじゃありません。私の夫は北川八雲です!」と必死に言った。

「それなら間違いないわ!」

彼女はますます激しく殴りつけ、私の顔は真っ赤に腫れ上がり、頬はほとんど麻痺している。

この時、隣に住んでいる鈴木お婆さんは騒ぎを聞いて出てきて、目の前で暴れている女性を止めてくれた。

「青空の下で、あなたは道理もわきまえずに妊婦に手を出すなんて、本当に悪女だ!」

「待って、私はすぐに警察に通報して、あなたを逮捕させる!」

目の前のこの狂った女が全く怖がっていなかった。

「おばあさん、あんた方の世代では、他人の家庭を壊す愛人に対してどのように対処していたのですか!」

鈴木お婆さんは電話をかけようとする手が一瞬固まり、口ごもりながら言った。「愛人なんて良い人なわけがない。その頃はみんな捕まって痛い目に見せていたわ」

「あんたが守っているその妊婦は、あたしの夫を誘惑した不倫女よ!」

「彼女はあたしがいない間に、堂々とあたしの家に住み着いたんだ。あたしが彼女を叩くべきと思わないですか?」

その言葉を聞いた瞬間、先ほど私を心配してくれた鈴木お婆さんの表情はまるでハエを食べたように嫌悪になった。

お婆さんは私を上から下までじっと見た後、口をへの字にひん曲げた。

私は諦めずに、お婆さんに向かって説明した。「おばあさん、私はここに1年間住んでいますが、この女性はいきなり私を愛人と言い、ここが彼女の家だと言ってきました!」「ご存知の通り、私は北川八雲の妻です。入籍した時に、お婆さんにお菓子をお届けしに訪れたことがありますよ!」

鈴木お婆さんの目には少し迷いがあり、彼女は私を見てからまたあの狂った女性を見て、目を下げて何かを考えていた。

狂った女性が両腕を胸に抱えて言い出した。「おばあさん、あんたは少し見覚えがありますね。あんたの息子は鈴木剛という名前でしょ?」

鈴木お婆さんが驚いた。「どうして知ってる?私の息子をご存じなの?」

「知っているだけではありません。あたしはやーちゃんとおばあさんの実家を訪ねたこともありますよ!そうだ、剛くんが言ってましたね、あんたはあたしが作ったお餅が一番好きだと。また作ってあげますね」

鈴木お婆さんが一回太股を叩いた。「そうね!あなたを覚えているわ!あなたは北川くんの奥さんね!」

「おばあさん?」

鈴木お婆さんは私につばを吐いた。「あなた何者なの!」

「北川くんの奥さん、続けて殴っていいよ。お婆さんの目が悪いからな、さっきは何も見えてなかったわ」

彼女は手を背けて、ゆらゆらと遠くへ歩いて行った。

私はついに違和感を感じ、目の前の女性を見つめて重い口調で尋ねた。「あなたは一体誰ですか?」

「どうした?今さらやっと怖くなった?」

「まぁいいよ、あたしは親切だから、あんたたち母子に理解できるように教えてあげるわ」

「よく聞いて、あたしの名前は北川麻衣子。北川八雲の妻だわ!」

私一瞬驚き、そして突然不可解で荒唐無稽な感覚が湧き上がった。

北川麻衣子は八雲の元妻だから。

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