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卒業

last update Last Updated: 2025-03-13 18:10:35

「いやー、美味かったですなユートルディス殿。特に、タラバスパイディーはワシの大好物なんです!」

「りゃんぢぇりゅにはきゃんしゃしにゃいちょいきぇにゃいにゃ。よきゅわきゃりゃにゃいちゃべみゅにょびゃきゃりぢゃっちゃきぇりょ、じぇんびゅめちゃきゅちゃうみゃきゃっちゃ!」

※ランデルには感謝しないといけないな。よく分からない食べ物ばかりだったけど、全部めちゃくちゃ美味かった!

 俺とランデルは、三杯目のエールを飲みながら料理の余韻に浸っていた。

 少し酔っ払ってしまったが、とても楽しい気分だ。

「さて、そろそろ目的の場所に向かいますが、人間の店にします? ……それとも?」

「じゅうじんっしょ?」

※獣人っしょ?

「「だははははははははは!」」

 ランデルも酔っ払っているのか、笑い上戸になっている。

 馬車の中で、獣人の凄さをこれでもかという程聞かされていたので、ここは獣人の店以外ありえない。

 この世界でしかできない事を、俺はやるのだ。

「それじゃあそろそろ?」

「いっちゃいみゃしゅきゃ?」

※行っちゃいますか?

「「わはははははははははは!」」

 何が面白いのか分からないが笑いが止まらない。

 お酒を飲んで楽しくなっているのと、これから起こるであろうハッピーな出来事への期待で最高に楽しい。

 会計を済ませて酒場を後にすれば、いよいよお待ちかねのご褒美タイムだ。

 初めてだと緊張して下半身が敵前逃亡してしまうと聞いたことがある。

 酒が入ると弱虫になってしまうと聞いた事もある。

 しかし、今の俺は緊張よりもワクワク感で一杯で、なんなら既にいつでも出撃できる状態になっている。

 会計の時に、牛獣人の胸を食い入るように見続けて気持ちを昂らせたからな。

「さあユートルディス殿、本日のメインイベントといきましょう!」

「おしゅしゅみぇのみしぇはありゅにょ?」

※オススメの店はあるの?

「ユートルディス殿、このランデル、不詳の身ではありま

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    「伝令兵はすぐに出発しろ! 補給はジークウッドの街で一度のみ、最短で城へと戻るぞ!」 待機部隊と合流し、短い作戦会議の後すぐに出発する事になった。 もちろん俺はその作戦会議に呼ばれていない。 これから二週間近くかけて城に戻るのだが、馬車の中でランデルから作戦について教えて貰った。 足の速い馬五頭を選び、先に五人の伝令役を城に向かわせることで、ジャックス王に闇皇帝キディス・メイガス・ドラキュリオ討伐の準備を整えて貰うらしい。 俺達が城に到着するより五日程度早く伝令兵が報告する予定だ。 ジャックス王国含む三カ国程度で同盟を組み、一気にドラキュリオ帝国を攻め滅ぼす大規模な戦争になるかもしれないとランデルが言っていた。 ジャックス王国には既に魔王軍のスパイが潜入している為、秘密裏に動く必要があり、実際に戦争が起こるまでには一年以上かかる可能性があるとも言っていた。 異変に気付いたドラキュリオ帝国側が何か手を打ってくる事もあり得るので、不測の事態に備えた緊張状態がしばらく続きそうだ。 この話を聞いていたアルは、馬鹿馬鹿しいと鼻で笑っていた。 アルが言うには、ヴァンパイアである闇皇帝は太陽の光に弱いので、夜もしくは自身が発生させた闇の中以外では全力で戦えないらしい。 昼間に闇の外から焼き殺すか、俺が聖なる勇者の力で闇を祓えば一瞬で終わると自信満々の顔で言い放っていた。 ナタリアが俺に尊敬の眼差しを向けていたので心が痛かった。 ちなみに、全力の闇皇帝にはアルでも勝てないらしい。 俺なら勝てるらしいが。 ナタリアのマルーン色の目がキラキラと輝いていたので、罪悪感で胸が苦しくなった。コメ:へぇ、勇者ユートルディスってそんなに強いんだね!コメ:俺達は|欺《あざむ》かれていた?コメ:まあ、四天王の半分はユートルディスがなんとかしちゃってるもんな。勇太:ジャンケンなら勝てるかもしれませんね。コメ:つまんなすぎて草コメ:ユーモア忘れてきた?コメ:勇太くんおもしろーい!(真顔)「ねえねえダディ! 

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    「ダディ見て見てー!」 ナタリアの声が聞こえた。 視線を移すと、魔剣ゲイルウィングを持って走っている。 あの小さな手に握られているのが花やヌイグルミだったらどれほど可憐だっただろうか。 距離を取ったナタリアは、龍の翼に似た黒い大剣を両手で持ち、大きく振りかぶった。 白いワンピースを着た少女が、自分の身長の二倍に近い巨大な剣を軽々扱っているという異常な光景だった。 ナタリアの視線の先には、ダンゴムシのように体を丸めたランデルがいる。 まさかとは思うが……。「ハゲちゃんいくよー!」 ナタリアが右足を前に出した。 玄関を開けて、散歩にでも出掛けるような軽い一歩であった。 ナタリアが体を捻り、剣を振った。 庭で素振りをする野球部のように、その行為に罪悪感など持ち合わせていない。 右から左へ横薙ぎに空を斬った魔剣の刀身から、半円状の漆黒の刃が放出された。 地を這うように飛ぶそれは、ズガガガと大地を削りながらランデルに向かって行く。「はへ?」 突然ナタリアに呼ばれたランデルは、甲羅から首を出す亀のように顔を上げると、情けない声を漏らした。 黒い何かが迫って来ているのだから当然だろう。「ハーゲちゃーん! 受け止めてー!」 魔剣を地面に起き、口の両脇に手を添えたナタリアが可愛らしく呼びかける。 ナタリアの声に反応したランデルは、巨大な鉄剣を持って立ち上がった。 青い鎧の老兵が、先の戦闘で刀身が傷ついた大剣を上段に構えた。 心なしか、その口元は笑っているように見えた。「やるではないかナタリア! ぬううんっ!」 地面を叩きつけるように振り下ろされた大剣が、闇の刃を真っ二つ切り裂いた。 二つの刃が交差した甲高い金属音、その直後に大地が割れる鈍い衝撃音が響く。 爆発した地面が砂埃を巻き上げ、ランデルの姿を覆い隠した。「ハゲちゃんすごーい!」 強い風が砂煙を霧散させると

  • 異世界で配信始めます〜滑舌が悪くなるスキルのせいで、魔王を倒すことになりました。勇者じゃなくて勇太なんだが?〜   悲劇

     青の老兵と元騎士団長の誇りを賭けた戦いは、アルが強制的に終わらせてしまった。 騎士のランデルに対しての復讐としては、これ以上ない残酷なものであっただろう。 パワーポーションを飲み、命を削ってまで倒そうとした相手が居なくなってしまったのだ。 水を差されたランデルは、固まったように動けないでいる。 ランデルの周りを陽炎のように立ち昇る空気が、魂が漏れ出しているかのように見えてしまう。 兵士達もどうしたらいいのか分からない様子でポカンとしており、アルとナタリアだけが楽しそうに会話している。 異様な空間が出来上がってしまった。コメ:おい勇太、ランデルを慰めてやれよ。コメ:ランデルも悪いけど、アルちゃんの仕返しもエグいなwコメ:あぁ、アルたそ。俺の頭を消し飛ばしてくれないかなぁ。【一万円】コメ:燃え尽きちまったみたいだな……。勇太:大量に買った携行食はどうするんでしょうね?コメ:心配するとこ違くね?wwwコメ:思考が主婦で草「ノイマン、ネフィスアルバを立たせよ!」「はっ!」 ランデルの指示で、ノイマンがネフィスアルバの元へと走る。 ランデルの瞳に光が戻っていた。 ノイマンが頭の無い死体を抱え上げて立ち上がらせると、ランデルは岩を掻き分け、瓦礫の中に潜っていく。 なんだか嫌な予感がするが、そうでない事を願うしかない。「青い鎧はジャックス王国最強の騎士のみが着用を許されておる! 人間を裏切り、騎士である事から逃げた弱者になど負けはせん!」 地中から決め台詞が聞こえた。 ランデルが背中で瓦礫を持ち上げながらゆっくりと立ち上がる。 パラパラと体からこぼれ落ちる小石が雰囲気を盛り上げているが、もはやギャグでしかない。 嫌な予感が的中したようだ。 あの大根役者は、全てを無かった事にしてやり直そうとしている。 呆れて物も言えない。 乾いた笑いが浮かんでくる。 当の本人は至って真面目なようで

  • 異世界で配信始めます〜滑舌が悪くなるスキルのせいで、魔王を倒すことになりました。勇者じゃなくて勇太なんだが?〜   悪魔の悪戯

    コメ:娘に守られる勇者……おる?コメ:今度こそ死んだかと思ったわ!コメ:勇太の心拍メーターさ、一瞬ゼロになってたんだけど?勇太:あー、回らないお寿司を食べた思い出を振り返ってた時ですかね?コメ:知らんわ!wwwコメ:脳が死を受け入れてて草 膠着状態から一転して大剣同士の激しい打ち合いが始まった。 動きが速すぎて俺には二人が何をしているのか分からないが、右で左で剣戟が鳴り、その度に衝撃波が飛んでくる。 俺はサッとナタリアの後ろに隠れたので、もう安心だろう。 念の為にバリアのポーズをしておいた。「やーっぱり年とったらダメダメじゃんねー? 俺っちのパワーとさー、魔剣ゲイルウィングが合わさっちゃったらさー、だーれも勝てないワケなのよー!」 ランデルが押され始めた。 ランデルは、地に足をつけて腰を起点にした遠心力を生かす攻撃を得意としている。 ネフィスアルバは、それと同等の威力を右腕だけで繰り出せる。 体格差があるため、単純な力の勝負で分が悪いランデルは技術でカバーしていた。 しかし、剣に加えて突きや蹴りの格闘術を織り交ぜ始めたネフィスアルバの猛攻は凄まじく、なかなか反撃の隙を見出せないランデルは後手に回らざるを得なくなってしまった。「ぬぐあっ!」 なんとか紙一重で攻撃を受け流していたランデルであったが、ネフィスアルバの左拳を肩に受け、体勢を崩してしまう。 その隙を見逃さず、ネフィスアルバが強力な袈裟斬りを放つ。 ドラゴンの翼膜のような禍々しい刃がランデルに迫る。 咄嗟に剣の腹を盾にしたランデルであったが、真正面から受け止めた凄まじい衝撃により、後方に吹き飛ばされてしまった。 振り下ろされた魔剣ゲイルウィングの刀身から漆黒の斬撃が放たれたのだ。 剣を振るった軌跡を追うように弧を描いた闇の剣線に押し出されたランデルは、その勢いのまま瓦礫の山に突っ込み、ガランガシャンと音を立てながら埋もれてしまった。 ネフィスアルバが初めて見せた飛ぶ斬撃だった。

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