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第10話

著者: 風間真千
last update 最終更新日: 2024-12-11 11:10:24
中学受験が終わった後、司会者コンテストのディレクターがすぐに私にオファーをしてきた。ただし、条件はすぐに学校を離れ、契約を結ぶことだった。

私は一瞬の迷いもなく断った。葉月の姿を使ってやるべきことはすべて終わったからだ。

これからは、飛鳥として生きていくつもりだ。

飛鳥の夢は、女性科学者になることだ。

そのために、私は本に没頭し、食堂と教室を往復する毎日を送った。

取り巻きたちが毎回私におしゃべりをしに来るたび、私はとても興味がなくて、問題集を渡して時間を潰させた。

そのうち、彼女たちの話題が噂話から議論テーマに変わっていった。

クラスの雰囲気も静かに変化していった。

授業中にいつも寝ていた知里も、私にノートを借りに来るようになった。

ある日、授業後、知里が以前借りたノートを返しに来た。

私は顔を上げずに手を伸ばして受け取った。ノートの中から一枚の紙が滑り落ちた。

知里はそれを素早く拾い上げ、周りを見回しながら再び私の手に押し込んだ。

私はその一連の動作に驚き、戸惑いながら彼女を見た。

知里が席に戻ると、私はその紙を開いた。

一目でその文字がわかった。

「飛鳥くん、妻は遅くに子どもを授かり、息子をとても甘やかして育てました。彼は間過ちを犯しましたが、それは私の指導不足です。私は彼に代わってあなたに謝罪し、彼を警察に送って法の裁きを受けさせます。再度、謝罪いたします。高田」

私は目頭が熱くなり、複雑な気持ちでいっぱいになった。

一方には愛している生徒が、もう一方には実の息子。

高田先生がこの手紙を書いた時、どれほど心が痛んだのか想像もできなかった。

ただし、この手紙は昔の飛鳥に宛てたものだ。

その時、私はふと心の中で何かがひっかかり、慌てて知里を見た。

彼女も私を見ていた。

知里は席に座ったまま、人差し指を唇に当てて「秘密にしよう」と合図した後、目を細めて舌を出した。

私はゆっくりと笑顔を浮かべ、心の中で絡まっていた糸がほどけるように感じた。

こんな穏やかな日常が続いていると、葉月の存在がまるで前世の出来事のように感じることがある。

試験後の休暇、私は一人で病院に行き、国語の先生を見舞った。

先生は静かに病床に横たわり、身動きは取れるものの、もう二度と目を覚ますことはなかった。

奥さんはそばで優しく世話をした。直哉
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    私の恐ろしい顔立ちでは、学校中どこを探しても私を好む先生など一人もいない。唯一、授業中に私に目を向けてくれた国語の先生も、硫酸事件の後、突然辞職してしまった。退院後、彼の行き先を誰に聞いても分からなかった。硫酸事件のもう一人の被害者は担任先生だった。彼はこの事件で優秀教職員の称号を失い、年末ボーナスも取り上げられてしまった。それ以来、担任は私への嫌悪感を隠そうともしなかった。クラス内でのいじめや暴力も黙認し、まるでそれが当然の報いであるかのように振る舞った。担任は事前に用意していた物差しを手に取り、言った。「聞いたぞ、うちのクラスで誰かが壁を越えたとか。まさかお前じゃないだろうな?」葉月は隣で誇らしげな顔をしながら私を見下ろしていた。彼女はその美しい外見だけで、誰からも簡単に愛され、庇われていた。私はどう弁解しようと無駄だと分かって、ニキビパッチを差し出ながら、素直に言った。「葉月が欲しがっていたニキビパッチです」担任は眉をひそめ、後ずさりしながら鼻を押さえた。「遠ざけろ! 汚らしい。葉月は生まれつき美人だ。ニキビなんかできるはずがないだろう?」「聞いたぞ、お前が彼女の服を洗っているとか。その病気が彼女にうつったんだろ!」担任が心配しているのは、葉月の顔だけではなく、優秀教職員の称号を取り戻すチャンスでもある。学校は葉月を選び、特別に講師をつけて1週間後の県大会の司会者コンテストに備えさせていた。彼女がテレビに出て、学校の名を広めれば、担任の昇進やボーナスも確実になるのだ。葉月自身もこのチャンスを逃すつもりはなかった。彼女はこの美貌で芸能界への道を切り開くことを夢見ていた。しかも、その審査員には有名な映画監督が二人も含まれていた。担任はため息をつきながら言った。「来週のテレビ出演に向けて、リハーサル映像を提出する。これ以上悪化すれば、学校は別の生徒を選ぶぞ」葉月が出演できなくなれば、彼の評価にも影響する。担任は私の手を出すよう命じ、物差しで何度も叩きつけた。「お前なんかに関わったせいで、俺の年末ボーナスが台無しだ。今日は百回叩かないと気が済まない」クラス中が笑い声で満たされ、その後、物差しの風切り音が教室に響き渡った。60回目に達した時、担任の腕も疲労で震

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