A Hint of Misunderstanding

A Hint of Misunderstanding

last updateLast Updated : 2020-10-14
By:  CristinaCompleted
Language: English
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9.6
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Synopsis

Alpha Logan had given up on finding his mate.Deciding to focus all his energy on work, he is surprised to find that the newly appointed assistant was his mate and human.Now all he needed was to get close to her and hope that the strength of the bond works.But what happens when a misunderstanding causes him to lose the most precious gift given to him.How will he convince her to give him a second chance...• Mature Content• Media Content is not my own• Story content my sole right, plz do not copy• Completed Story

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Chapter 1

Prologue

「理事長、特許を国に提出し、医科学研究所に入る決意をしました」

言葉を聞いた理事長は思わず立ち上がった。

「素晴らしい決断です、白河さん。この特許は、何百、何千という患者の命を救えるでしょう。

ただ、これは国家機密級の研究機関での任務です。少なくとも三年は表に出られません。十日後には出発ですが……ご家族や恋人には、相談しなくて大丈夫ですか?」

「必要ありません」

白河澄月(しらかわすみづき)は、淡く苦笑した。

——どうせ、あの家に私の居場所なんて、もうとっくになくなっていたから。

去年、家でずっと支援してきた貧困家庭の少女・三条陽菜乃(さんじょうひなの)が、両親の事故死をきっかけに、父に連れられて白河家に住むことになった。

何でもそつなくこなす澄月とは違い、陽菜乃は人の懐に入るのが上手だった。

白河家に来てまだ一年も経たないうちに、彼女はすっかり家族の中心になっていた。

父は彼女を宝物のように扱い、澄月の幼なじみであり婚約者の相馬慶悟(そうまけいご)、そして弟の白河凜士(しらかわりんじ)までもが、彼女に心を奪われた。

亡き母の遺影が陽菜乃によって割られても、父は「過去は過去だ、忘れろ」と言い、仏壇そのものを片付けてしまった。

澄月が母を偲んで研究し完成させた心臓ステントの特許まで、陽菜乃は奪おうとした。

それを譲れと言ってきたのは、幼なじみで恋人でもあった慶悟。彼は「もし譲らないなら別れる」とまで言い放った。

血のつながった家族も、長年育んできた恋も——甘い言葉に勝てなかった。

もう疲れた。争うことに意味なんてない。

——もう、行こう。自分を、これ以上苦しめないために。

家に戻ると、ダイニングは賑やかだった。

白河家に新しい「家族」として迎えられて一年——陽菜乃の「新生活一周年記念パーティー」の真っ最中だった。

だれも気づかない。今日は、澄月の誕生日でもあるということに。

母が亡くなってから、誰も彼女にプレゼントを贈らず、誕生日を祝う者もいなかった。

テーブルには慶悟と凜士が陽菜乃の左右に座り、微笑みながらプレゼントを手渡していた。

その様子を冷ややかに見つめながら、澄月は無表情のまま通り過ぎようとした。

だが、父・白河誠一(しらかわせいいち)が彼女を呼び止める。

「理事長に言って、特許を陽菜乃に譲るように頼んだか?」

「もう私のものじゃないから」

周囲の人達は、それを「譲渡した」と受け取った。

慶悟は歓喜の声を上げ、陽菜乃を抱きしめた。

「やったな陽菜乃!国家級の特許だ。これがあれば進学も就職も心配ない!おめでとう!」

澄月は一歩引いてその光景を冷ややかに見つめ、背を向けようとした。

そのとき、陽菜乃がマンゴーケーキの一切れを切り取り、彼女の前に差し出した。

「澄月さん、今までありがとう。これはあなたのためのケーキだよ」

背を向けた瞬間、陽菜乃の顔から「無垢な仮面」がはがれ、勝ち誇った挑発の笑みが浮かぶ。

それは、勝者の表情だった。

澄月は冷たく言った。

「下げて」

陽菜乃は数日前、澄月と一緒に健康診断に行っていた。

彼女がマンゴーにアレルギーがあることを知っているのは、陽菜乃ただ一人だった。

「何怒ってるんだよ。特許のことは俺が頼んだんだ。文句があるなら俺に言えよ」

慶悟が立ち上がり、冷たい視線を澄月に向ける。

陽菜乃は涙をぬぐいながら震える声で言った。

「慶悟さん、澄月さんを責めないで……悪いのは、全部私だから。

この家には、もともと私の居場所なんてなかったのに……

澄月さん、いつも私の物が汚いって思ってるでしょ?ごめんなさい。もし嫌なら……今日、すぐにでも出て行くから。

寄生虫みたいに思われたくない。ただ、白河家の恩返しがしたかっただけなの……本当に、ごめんなさい……」

「陽菜乃姉ちゃん、ここはもうあなたの家なんだよ。誰が追い出そうとしても、俺は絶対許さない」

凜士がすぐに彼女の手を握った。

誠一も箸を叩きつけ、怒鳴った。

「せっかく楽しくやってるのに、お前が来ると台無しだ。

いつになったら人並みに物事を理解できる?

なんで俺がこんな器の小さい、常識のない娘を育てちまったんだ?

さっさとケーキ食って、陽菜乃に謝れ!」

実の父の目に宿る、あからさまな嫌悪を見た瞬間——

もう、こんな家なんか出ていくと決めていたはずなのに、澄月の指先はかすかに震えた。

心臓を、巨大な掌でぎゅっと掴まれたように、苦しくて、呼吸ができなかった。

歯の隙間から、かろうじて言葉が漏れる。

「断ったら?」

その瞬間、鋭い平手打ちが澄月の頬に炸裂した。

そして、誠一はケーキを掴み、そのまま彼女の口に押し込んだ。

突如の暴力に、澄月の身体はついていけなかった。

唇が痺れ、呼吸が苦しくなり、膝が崩れるように床に倒れ込んだ。

陽菜乃は慌てたように言う。

「澄月さん!? 大丈夫? 救急車呼んだほうがいい?」

「放っとけ。どうせ演技だ。続けよう」

……

騒がしい音の渦のなかで、澄月は這うように自室へ戻った。

引き出しを開けて、震える手で薬を口に運ぶ。残されたわずかな力を振り絞り、彼女は救急への電話をかけ終えた。

ぼんやりと天井を見つめた。

——あと十日。

あの場所へ行けば、誰も私を知らない。

この冷たい家とも、腐った人間関係とも、やっと——縁が切れる。

血のつながりも、偽りの恋も、もう、いらない。

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sayylena
sayylena
This was adorable ...
2021-08-13 11:56:56
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0
Jaime Woolfolk
Jaime Woolfolk
It's great
2021-07-19 22:43:55
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Glynis Cope
Glynis Cope
Nice story enjoyed reading
2021-07-13 11:58:00
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0
Bernelee Ada
Bernelee Ada
interesting with a beautiful ending
2021-05-19 00:45:12
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Joanne Rosser
Joanne Rosser
This book is so good, it’s nice not to have villains always after them.. Thank You for this book. 🤗🤗🤗🤗
2021-03-15 13:53:39
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