Chapter: ●トドメの言葉◇◇◇球技大会を無事に終えた夜。こうなることは予想していた――けども、その内容の濃さまでは想定していなかった。「――……アッ、まて……っ、ケイ、ロ……はげし……ぁぁ……ッ」絶え間なく奥を抉られながら、俺は息も絶え絶えに喘ぎ、ケイロに啼かされ続ける。うん、お前の体力が底なしで、絶倫だっていうのは分かってた。分かってるつもりだった。でもここまでとは思わねぇよ!だって球技大会で決勝まで勝ち上がって、戦闘しながら優勝したんだぞ? いつも以上に身も心も疲れ果てて、エッチどころじゃないはずなんだけど。……お前、もう何回目だ?俺をイカしまくって、中に出しまくって、まだ終わらないって。まさか今まで手加減してたのか? むしろこれがケイロの普通なのか?しかも魔法で回復してくるからエグい。俺が果ててヘトヘトになっても回復させられて、元気に喘がされる。ベッドのシーツを掴む指は力入りまくり。中でイく時の快感も鈍くならず、鮮やかなまま。こんなの、体は魔法で回復しても、頭ん中がグズグズに壊れる。……いや。もうとっくに壊されていて、こうなる準備を済まされていたんだ。メチャクチャにされてるって分かってるのに、強く抵抗できない。体はケイロに何をされても悦んでしまうし、何が何でもやめろと拒めない。喘ぎながらの申し訳程度の待ってしか言えない。それすらも腰は揺れてケイロを煽るし、中はずっと締め付けてケイロを離さない。ああ、認めたくない。体も心もコイツの激しさに応えたがっているなんて――。「これで……激しい? まだだ。足りない……っ」甘く喘ぐばかりの俺の脚を高く持ち上げて、ケイロはさらに深く繋がって腰を揺らす。「&hell
Last Updated: 2025-04-26
Chapter: 最終巻のハイタッチシュウゥゥゥ……。 火の球パス練習の時と同じように、ケイロの手がボールを捕った刹那に炎の柱は消え、白煙が吹き出す。そして何事もなかったのようにドリブルを始めた。「その調子だ太智! もっと遠慮せず俺にぶつけてこい!」周囲には真意が分からない、俺たちだけで通じる内容。 ……どんどんやれってか。ボール取り損ねたら大ケガするっていうのに……あと名前呼びになってんぞ。こんな大勢いる中で……ったく。まあ今までの試合を観てるヤツなら、別におかしく思わないか。 自画自賛だけど、戦闘を抜きに考えても俺らの息ピッタリだし。試合の中で友情が芽生えたっておかしくないもんな。 ……本当は夫婦なんだけど。試合中盤から、俺たちの間だけで作戦が変わった。「行くぞ、百谷ぁ――っ!」声をかけながら、強く念じて炎の柱をバンバン出しまくりながらケイロにパスを出す。心は抑えない。テンション上げまくって、試合の攻防の高揚感も利用して、超強火な魔法を連発した。ケイロは涼しい顔して俺の火力増し増しパスを、うまく手元で鎮火して新たに手頃な火を灯す。こうしていけば一気に魔物を払うことができるから、俺たちは積極的にボールを取りに行った。さらに小まめなパスを増やして、次々と魔物を一掃していく。 パスカットでボールに指先が触れる際も呪文を小さく素早く唱えて、ファウルボールすらコート外の控え魔物たちへの攻撃に変えた。終盤になるとケイロだけじゃなく、俺のプレイでも歓声が上がるようになる。どうもボールを奪いに行く俺の気迫と執念が、観客に受けているらしい。 そりゃあ必死だからな。俺が脅威と認定されたっぽく、魔物たちは積極的に俺にも攻撃するようになったし。がむしゃらにボール持って、炎で攻撃しまくって、試合運びなんてもう考えられない状態になってた。そして――ピィィィィッ! ゲーム終了の笛が鳴る。 我に返って周囲を見渡せば、いつの間にか魔物たちの姿は消えていた。「ハァ、ハァ……あ、得点は?」乱れ
Last Updated: 2025-04-25
Chapter: 試合と戦闘とうっかりと俺とケイロは頻繁にパスを回し、ゴールに近づきながら魔物たちに当てていく。バシュッ、バシュッ、と火の玉ボールが黒い靄の魔物たちを貫通すると、そのまま蒸発するように消えていく。中庭で襲われた時よりもあっけない気がする。もしかすると質より量で攻めてきたのかもしれない。それに俺がボールを持つと、魔物たちは一様に様子見に回るが、ケイロにボールが渡った途端に魔物たちの動きが活発化した。体当たりや引っ掻き攻撃を仕掛けたり、龍は上から青い炎の息を吐き出してくる。こんな総攻撃を仕掛けられら、一般男子の俺なら直撃必至だ。だけどケイロはそれを敵チームのパスカットを避ける体でドリブルしながらかわし、時にはジャンプして上手くよけていた。傍から見れば、ケイロが鮮やかな神プレイ連発。華麗にドリブルシュートをケイロが決めた瞬間、わぁぁぁ……っ、と館内が歓声で揺れた。「ナイス、百谷!」「やっぱり坂宮が入ると百谷の動きが違うな。伸び伸びしてる」チームメイトの声を聞いて、心の中で俺は苦笑する。そりゃあ俺とパスの応酬できたら、黒いモヤモヤに攻撃しまくれるもんな。実質、攻撃の回数が倍増するようなもんだ。ボールを持っていない時は魔法のみで攻撃できるけど、試合しながらだから集中できない。身の安全を考えれば試合どころじゃないし、本来なら試合を抜け出して、別の場所で戦闘したいところだろう。そうすれば本気の力でやれるから戦いやすいだろうが、ケイロが抜ければ試合は確実に負ける。王子という何かあってはいけない立場。しかも異世界の学校の球技大会なんて、どう考えても優先順位は最底辺になるだろうに、それでも試合は捨てない――。一度欲しいと思ったものは絶対に狙い続ける性格。頭良いのにアホだ。そんなケイロの欲張りな一面に付き合う俺自身も、同様にアホだと思うしかなかった。ケイロがボールを持っている間は、火を常時つけていた。ドリブルついでに魔物に当てて倒し、敵チームに迫られたら俺へパスを出し、ちょっとボールをキープしてから
Last Updated: 2025-04-25
Chapter: 黒い靄だらけの決勝戦◇◇◇体育館へ駆け付けて館内を目の当たりにした瞬間、俺は口をあんぐりと開けて立ち尽くしてしまった。大勢の生徒が集まり、騒ぎながらバスケの試合を観戦する中。中央で試合をする生徒たちに混じり、黒い靄で作られた獣っぽいものが何匹も徘徊し、ケイロを狙っていた。前に襲ってきた狼っぽいヤツ。鳥や鹿、水牛や虎、ヒグマみたいなものも見える。上のほうでは竜っぽいものまで飛んでいやがる。バスケをしながらケイロは魔法で攻撃するけれど、すぐに別のヤツがやってくる。……あっ! 応援する生徒たちと一緒に、他の色々な形のヤツらが控えて、様子をうかがってるじゃねーか!暗黒の怪獣大戦争状態。もしくは昼下がりの百鬼夜行。こんな中で孤軍奮闘なんて、普通の神経なら心が折れている。俺なら絶対に降参して逃げ出していると思う。「ケイロ……」思わず俺は名前を呟いていた。目の前のヤバいさで心臓がバクバク鳴って、見苦しく叫び出したい衝動に襲われる。でも今は落ち着いて現状を把握しないと……。深呼吸してから、俺は改めて周りを見渡す。あからさまに敵が集まっていても、この場ではケイロと俺しか分からないという現状。ソーアさんやアシュナムさんの姿を探すけれど見当たらない。同時に襲われて、ここに駆け付けられない状態だと察するしかなかった。ケイロは試合しながら器用に敵と戦っている。パスが回ってきてボールを取れば、ドリブルで敵を避けつつ火の玉パスで攻撃。両手が自由になれば防御のフリして、アクションゲームみたいに光球手の平から出して戦っていた。一匹一匹は大したことがないのだろうが、これだけの数を相手にしつつ試合をするというのはキツい。というか、まず無理だ。これを二人で相手にするのも厳しい。でも、一人よりは断然いい。俺は意を決して自チームの控えへ駆け出す。ちょうど試合は敵チームにゴ
Last Updated: 2025-04-24
Chapter: 助け合うもんだろ、夫婦は◇◇◇保健室に行くと鍵は開いていたが、保険医であるソーアさんの姿はなかった。昼休みで他の先生方とご飯でも食べているんだろうと思いながら、俺は悠をベッドに寝かす。唸りながら横たわる姿が本当に苦しげで、俺も同じように顔をしかめてしまう。「大丈夫か? 今すぐ百谷先生探して、胃薬出してもらえるよう言ってくる――」「……ここにいて、太智。お願いだから……」悠が俺の手を掴んで引き止めてくる。調子が悪いと心細くなるものだし、そんな時に保健室でひとりというのは辛いものがある。でも待っていてもソーアさんがいつ戻るか分からないし、時間が無駄に過ぎていくだけだ。それに決勝の試合だってある。悠には悪いが、いつまでもここにはいられない。どうにか宥めて納得してもらおうと思っていると――ギュッ。悠の指先が深く俺の手に食い込んだ。「次の試合に出ちゃいけない……危険だから……」悠の言葉に俺は体を強張らせる。危険って……悠、まさか……。妙な動悸で頭がクラクラとしてくる俺を、悠は体を起こして必死な眼差しを向けてきた。「他のみんなは問題ないけれど、太智だけはあっちの世界のことに影響を受けちゃうから……」「……っ!」「絶対に行かないで。ここで僕の看病から離れられなかったことにして欲しい」間違いない。悠は異世界の関係者だ。引っかかっていた疑惑が確定してしまい、俺は激しく動揺しながら尋ねた。「あっちの世界って……悠、お前、どこまで知ってんだ? 危険ってどういうことだよ!?」「ごめん、詳しくは言えないんだ。僕に許されているのは、本来は無関係なのに巻き込まれた太智を守ることだけ」ケイロたちが前に言っていたことが頭の中を過る。俺と一緒
Last Updated: 2025-04-24
Chapter: 昼休みの緊急事態◇◇◇「すごいね二人とも! 決勝まで行っちゃうなんて」昼休みに一旦教室へ戻って昼食を摂っている最中、悠がホクホクとした笑顔で声を弾ませた。「いやー、百谷が本気出しちゃってさ。もう独壇場。コイツが点取り出したら誰も止められないぞ」言いながら、なんか旦那自慢しているような気がして背中がこそばゆい。でも事実は事実だし、貸した漫画さながらのプレー連発を湛えたくてたまらない。だってダンクだけじゃなくて、三点シュートも打てるし、ドリブルシュートも華麗に敵を抜いて決める。ディフェンスが手を伸ばして妨害してきても、軽く後ろに跳びながらシュートもいける。守りに回ればパスカットと相手ドリブルからボール奪取連発。もちろんゴール下のこぼれ球はハイジャンプでがっちりゲット。速攻で俺にボールをパスして、すぐさまダッシュで敵陣までケイロは移動したところで俺からパス。そのままシュートで得点追加。観衆の中には例のバスケ漫画を知っているヤツもいるようで、「あのシーンの再現じゃん!」と嬉々とした驚きの声も聞こえてきた。珍しく俺が表立って褒め称えていると、ケイロがあからさまに嬉しそうな笑顔と視線を向けてくる。「全部俺の手柄だと言いたいところだが、パスを上手く出したり、俺が望んだ位置に先回りしている女房役がいる。おかげで俺も身動きが取りやすかった。決勝もこの調子で頼む」……コイツの口から女房役なんて言葉を出されると心臓に悪い。まさかここぞとばかりに嫁自慢でもしてるのか?ケイロと目が合って、思わず俺は照れて視線を逸らす。二人だけしか分からない、甘い空気が薄っすらと漂ってこっ恥ずかしい。優勝したら、また褒美をくれてやるって散々抱いてくるんだろうなあ。ああクソっ。分かりたくないのに、ケイロの言動が手に取るように読めちまう。弁当を食べながら心の中で頭を抱えていると、「百谷、坂宮、大変だ!」バスケでチームを組んでいるクラスメートたちが、俺たちの元へ駆け付ける。やけに切羽詰まった顔をしていて、俺は首を傾
Last Updated: 2025-04-23