All Chapters of インフルエンサーの彼氏: Chapter 1 - Chapter 10

私は小林景昭がその後澤田美月と関わりがなくなったと思っていたが、まさか人気がもたらす利益のために、私に隠れて澤田とイチャつく動画をたくさん撮り続けて、しかもどんどん過激になっていった。このことに気づいた時、彼は浴室でシャワーを浴びていた。その日、彼はスマホをリビングのテーブルに置いたまま、電源を切り忘れていた。澤田からメッセージが届き、私はそれを見てしまった。澤田は彼に、いつ彼女の家に行ってまた動画を撮るか尋ねていた。そのメッセージを見て、自分が騙されていたことに気づき、耐えきれずにスマホを開き、彼らのトーク履歴を見た。二人の会話は非常にあいまいで、まるで彼らが本物のラブラブなカップルのようだった。私は怒りに任せて小林のアカウントを開いて、彼が投稿した動画を確認した。そこには新しく5本もアップされていて、その内容はどれも見るほどに腹立たしいものだった。一本は小林がシャツを脱いで腹筋を見せ、澤田に触らせている動画、もう一本は彼が澤田を壁に押しつけてキスをしている動画、さらにはベッドでふざけ合っているものまであった！どの動画も異常に再生回数が高く、コメント欄では彼らが非常にお似合いだと褒め称え、イケメンと美人、ラブラブなやり取り、早く結婚して幸せになれなど、ますます過剰な内容になっていた。小林はコメントに反論することなく、「私たちはずっとラブラブで、一生一緒にいることを決めた」と返信していた。そのやり取りを見て、私は吐き気を覚えた。表向きには澤田と何もないと言っていたが、裏ではカップルとして動画を撮っていたんだ。小林がシャワーから出てきたとき、私は我慢できなくなって、彼にその動画を削除するように言った。しないと別れるって。小林は慌てて説明した。「前回の動画でイチャついてバズったおかげで、ある事務所がその人気に見込んで澤田とのペアで契約を結んだんだ。今の動画は全部マーケティングの一環で、俺の考えたものじゃないんだ。正直、俺もあんまりやりたくなかったけど、夢々が怒ると思って言えなかった。でもこれで毎月かなり稼げるし、実際に何も失うことがないだろ？」「あなたは失わないかもしれないけど、私が見ていてすごく辛いよ。もし私が他の男の子ととイチャイチャしてたら、景昭は平気なの？」私はどうしても自分を納得させることができなかった。小林

小林景昭は私を個室に連れて行き、たくさんの料理を注文した。それは全部私の好きな料理で、思わず「お金持ちになるとやっぱり違うね、こんなに気前がいいなんて」と感心した。私は遠慮せずに食べ始めた。食事を楽しんでいる途中、小林が突然部屋の電気を消し、テーブルの上のキャンドルだけがほのかに光っている状態になった。私は驚いて、彼が何をしようとしているのか全くわからなかった。小林は懐から小さな箱を取り出した。そして急に真剣な表情で片膝をつき、箱を開けて中身を見せた。それはなんとダイヤの指輪だった。その瞬間、彼が私をここに連れてきた理由がやっと分かった。プロポーズだった。「夢々、俺と結婚してくれないか？」彼の顔には誠実さが溢れていて、その笑顔に心を奪われた。震えた手で指輪を受け取り、プロポーズを受け入れた。私たちは以前から結婚を考えていた。本来なら、私の大学院入試が終わり、彼の仕事が安定したら、一緒に両親に会いに行く予定だった。でも、彼がたった一本のショート動画で一気に有名になるなんて、全然予想していなかった。その後仕事で地方に出張することになったせいで、私たちの関係にも少しずつ溝ができていった、結婚の話もずっと止まったままだった。今回のプロポーズは、不安だった私の心をしっかりと落ち着かせてくれるためだった。小林の私への気持ちを、何の疑いもなく信じることができた。「夢々、俺を信じてくれ。絶対に幸せにするから」小林はそう言いながら私を抱きしめて、「明日、一緒に家に帰って俺の両親に会おうよ」と提案してきた。彼のその行動で、私はさらに安心した。ショート動画のことも、きっと彼の本意ではなく、ただ私たちの将来のためにもっと稼ごうとしていただけだと思えた。翌日、私たちは小林の実家に行き、彼の両親に会った。これで正式に家族に紹介されたことになった。私の両親については、彼らが他の町に住んでいるため、小林が時間を作れるときに一緒に行く約束をした。その後、私たちは数日間思いっきり遊ぶことにした。小林は「家の急用って言い訳して、事務所から休みを取ってきたんだ。夢々に会うためと、ついでにプロポーズするためにね」と言ってきた。その言葉に私は笑ってしまった。私たちは一緒に久しぶりにゲームセンターに行き、映画も見た。楽しい時間を過ごしている最中、小林に電話

こうして数日後、小林景昭は澤田美月との不自然な関係を暴露した。小林は毎日動画を撮影して帰ると、彼の服のポケットに、可愛らしいデザインのティッシュやキーホルダー、口紅など、女性の用品が散らばっていることが増えてきた。これらの物はどうやら澤田がわざと置いていったもののようで、小林はそれに気づいていない様子だった。私は小林が脱いだ服の中からそれらの物を取り出し、怒りを抑えきれずに彼に問い詰めた。しかし、彼はそれらが最近の撮影で使ったプロップだと言い訳をした。でも、私は最近彼の動画をよく見ていたが、そんな物を使っている場面は全くなかった。それらは完全に澤田と彼が付き合っている証拠だった。私は小林に怒鳴って、澤田と距離を置いてほしいと言った。だって、私たちはもうすぐ結婚するんだから。でも彼は、私が理不尽だと言って、夜も帰らなくなり始めた。その日も小林は帰らなかった。私は電話して理由を聞いたら、彼は「他のインフルエンサーとコラボするために出かけてたんだ。接待もあって、酔っ払ったから近くで休んでたんだ。もう帰らないから、気にしなくていいよ」って言った。私は当然、こんな結果には耐えられなかった。彼がいつも姿を消して、どうして安心できるだろう。しかも、一緒に実家に帰って私の両親に会う約束の日がもうすぐなのに、彼は全然気にしていない様子だった。私は彼が本当に結婚する気があるのか疑い始めていた。毎日動画の撮影ばかりしているだけで、結婚については全く考えていないようだった。翌日の夜、私はようやく仕事から帰ってきた小林に会った。彼と顔を合わせた瞬間、強い酒の匂いがして、私の目が痛くなるほどだった。何をしていたのか聞いた。彼は不機嫌そうに「接待だ」と言った。私は「お酒を控えた方がいいよ、もし動画の仕事がこんなに辛いなら、もう辞めてまともな仕事を探したほうがいい」と言った。この言葉が彼を怒らせた。私に怒鳴った。「お前は金を稼げないくせに、今の撮影の収入はお前が何十年働いても稼げない額だ！」その言葉を聞いて、私は初めて私たちの間に大きな価値観の違いがあることを実感した。小林は今、お金のことばかり考えていて、私は温かい日常を送りたいと思っていた。私たちはすでに違う道を歩んでいて、これからも争いが絶えない運命だと感じた。私は冷たい水を飲んで、冷静にな

最近、小林景昭の調子が悪いようで、目の周りがくぼみ、顔色が青白く、かなり痩せたように見えた。帰ってきた時、いつも落ち込んだ表情をしていて、さらに手にはタバコを持って何度も吸っていた。おそらく、彼の撮影がもうすぐ終わるから、焦っているのだろう。私は、彼らの人気がピークに達したその日を待って、ビッグニュースを暴露するつもりだった。資料と証拠はすでに整えてあり、いつでも公開できる状態だった。小林が脱いだジャケットがソファにかかっていて、その上から漂う酒の臭いに不快になりながら、それを洗濯機に放り込もうとした。ジャケットを持ち上げた時、ポケットの上に白い粉末が付いているのに気づいた。その粉末はとても奇妙で、何なのか興味を持ち、それを検査に出すことにした。小林はよくバーに行くので、もしかしたら不良習慣が付いているかもしれないと思ったから。日程を計算してみると、小林が別れの動画を撮る日が近づいていた。私は全ての準備を整え、彼らの動画が最も注目されている時に、証拠を公開するつもりだった。しかし、その日が来ると、小林は突然撮影をキャンセルした。彼は外のホテルに隠れて、私にメッセージを送ってきた。「荷物をまとめて、家に帰ろう。もう動画の撮影はしたくない」と言ってきた。彼は私に一緒に帰るかどうかを尋ねてきたが、私は冷笑した。彼は私たちの関係を裏切り、何度も嘘をついてきた。もう一度騙されるわけがないんだ。もちろん、私は彼に同意しなかった。むしろ、彼に動画を撮り続けたほうがいいのではないかと説得した。小林は私に、仕事を変えたい、家に帰って両親に会いたい、早く結婚したいと言ってきた。その時、ドアベルが鳴り続け、外に大勢の人が来て、小林を探している様子だった。どうやら事務所から来た人たちで、彼に撮影に戻るようにと言っていたらしい。私はかつて小林の契約書を見たことがあり、もし撮影を拒否した場合、大きな違約金を支払う必要があることを覚えていた。だから、今回は彼が逃げられないことが分かっていた。小林は私を説得できないのを見て、自分で行くことに決めた。そして私に荷物をまとめてくれるよう頼んできた。彼は本当に怖かったのだろう。違約金も怖いし、名誉を失うことも怖かった。しかし、彼が撮影しなくても、事務所にも他の手があるんだ。しばらくして、新しい動

しばらくして、澤田美月と彼女の事務所は、投稿した内容が法律に違反していたため、プラットフォームからアカウントを停止され、彼女もポルノや暴力的な内容を撮影したから留置所に入れられた。ニュースを見て初めて知ったんだけど、澤田は以前から少し名前の知られた配信者で、そのショート動画の分野に入った。彼女と小林景昭が関わりを持ったのは、小林がプラットフォームにアップしたおちゃらけた動画を彼女が見たからで、彼女は小林の見た目が良くて業界では無名だし、恋愛テーマの動画を撮るのにぴったりだと思って、彼に連絡を取ったんだ。小林は、こういった動画にはたくさんのあやふやなシーンが含まれることを知っていたのに、それでも私には偶然撮った動画だと言って騙した。その後、小林はもっと良いリソースを手に入れようと、澤田と付き合い、二人は彼が最初の動画をアップした後すぐに親密な関係になったけど、私はまだ彼が本当にただ失恋した女の子を慰めたかっただけだと思っていた。彼が自分の夢を追うために頑張っているのを応援したくて、何度も辛抱して、悔しさを飲み込んできたけど、彼が私に返してきたのは数えきれない嘘と裏切りだった。小林は一つ嘘をつき、それから無数の嘘が続いて、私はずっと騙されていたけど、今回は本当に思いっきりこのクズ男に復讐した。彼が自分のしたことに相応しい代償を払っているのを見て、本当にスカッとした！三年後、私は大学院を卒業して、外でなかなかいい仕事を見つけ、実際に自分にぴったりな相手とも出会って、結婚して一緒に頑張って働き、この知らない街で自分たちの小さな家を作り、幸せな生活を送っていた。そして、小林はというと、リハビリ施設から出た後、またショート動画を撮り始めて、再び人気を取ろうとした。残念ながら、彼があんな間違いを犯して、ネットで麻薬を乱用して浮気をしたクズ男だと判断された時点で、もう誰にも好かれる資格を失った。どんなに面白いコンテンツを撮っても、結局は他人の罵倒や嘲笑を招くだけだった。しかしそれはもう私とは関係のないことだった。