夫は、私が夏にエアコンをつけすぎると文句を言い、まさか生活費まで私ときっちり分けると言い出した。家賃光熱費だけでなく、食事までどちらが何口多く食べたか細かく計算された。私はきっぱりと割り勘契約書を取り出し、夫は待ちきれずにサインした。しかし、それから間もなく、彼は泣きながら後悔し始めた。彼の縋るような姿を尻目に、私は立ち去った。「契約通りにしているだけなのに、何か問題でも?」......私は家で熱中症になった。病院で点滴を受けていると、夫は冷たい目で見下ろしていた。「41度で熱中症になるなんて!こんなに虚弱体質だと知ってたら、結婚しなかったよ!」「治療費は自分で払え。それに病院までのガソリン代も、今すぐ振り込め」熱中症で頭がくらくらしているというのに、彼は私の携帯をひったくり、勝手にパスワードを入力して6400円を自分の口座に送金した。私は病床に横たわり、怒りで体が震えた。病室を回る看護師は堪り兼ねて、声をかけた。「ご夫婦ですよね?奥さんが熱中症なのに、どうしてそんなに冷淡なんですか?」夫は周囲の探るような視線に気づかない様子で、平然と説明を始めた。「あなたたちみたいな独身の若い人にはわからないだろうけど、うちは割り勘主義なんだ」「兄弟でも計算が必要なのに、ましてや夫婦ならなおさらだ」「病院に連れてきただけでも十分だろう」もう我慢できなくて、私は口を挟んだ。「あなたがエアコンのリモコンを隠したから熱中症になったんじゃない!」田中一樹は私を蔑むように見た。「君は早く仕事が終わるからこっそりエアコンをつけているんだろうけど、電気代は二人で負担するものだ」「君を気遣うために、私が余計にお金を使うべきだというのか?」看護師の驚愕の視線が突き刺さり、顔が火照るように痛かった。悲しみと熱中症の不快感に、視界が歪み、そのまま意識を失った。気を失う前に、最後に聞こえた言葉は。「残りの費用は彼女が起きたら自分で払わせる。俺は会社に戻らないと」田中一樹のケチなことは、前から知っていた。だけど私たちは初恋同士だったから、ケチは大きな欠点ではないと思っていた。以前、彼はよく私に「愛はお金で表現する必要はない」と吹き込んでいた。温室育ちの私は、何も考えずにそれを受け入れてし
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