夫からの電話で、初恋と結婚式を挙げると知らせたとき、彼はすでに結婚式の会場にいた。私はタクシーで会場に向かうと、着いたとき結婚式はもう終わるところだった。私の夫、入江裕二と彼の初恋、小林月見が舞台上でキスを交わし、抱き合っていた。まるで本当の夫婦のようだった。私を見つけると、裕二は眉をひそめた。「佐倉千乃、お前はここに来たのは何のつもりだ?ここに現れてわざと月見を困らせようとしているのか?これから彼女がどう人前に出るのか?」なんて可笑しいことだ。私の夫が他人と結婚式を挙げているのに。彼はただ月見のことだけを心配している。「もし君が月見と結婚したいなら、離婚の話を相談してもいいのに、なぜこんなことをするんだ?」もし友人が結婚式の様子を撮影してくれなかったら、恐らく私は今でも何も知らないままだっただろう。思いも寄らなかったことに、裕二はいっそうイライラした顔をして、私に向かって怒鳴りつけた。「佐倉、お前はこれでも人間なのか?月見は末期の病にかかって、この人生で唯一の悔みは結婚式を挙げられなかったことだ。俺が彼女のこの願いを叶えるって何が悪いんだ?」「俺たちは本当に結婚するわけじゃないし、ただ見せかけなんだ。お前が狂ったように飛び込んでくる必要があるのか?」「今すぐ出て行け!」私たちの喧嘩の声が結婚式に出席していたお客さんたちを引き付け、みんな思わず取り囲んできた。月見は結婚ドレスを着て、前に歩み寄り、自然に裕二の腕を抱きつけた。「お姉さん、勘違いしないで。私は白血病に診断されて、もう残された時間があまりないんだ」「唯一の願いは一度結婚式を挙げることで、こうすれば私が死んでも悔みもしない」そう言いながら、月見は愛想を込めて裕二を見た。「お姉さんとは違って、身の回りに裕二さん以外の男性の友達がいないんだ。仕方なく彼に手伝ってもらったんだ。どうか許してくれよ」私は冷やかに笑った。月見の顔色は血色が良く、末期の病気にかかっている様子は一切見えなかった。裕二は月見の肩を抱えつけて言った。「月見、このバカ女に謝る必要はない。君は何の間違いもしていない。病気になるのも君の望むところじゃないんだ」そう言って、彼は私を見た。「さあ、今原因もわかっただろう。早く家に帰れ。ここで俺に恥をかかせるな!」大勢のお客さ
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