母が地方に旅行に行って、蛇神の像を持って帰ってきた。処女の生理血を供えれば永遠に若さを保てると言っていた。母は私に神像に血を供えさせて、髪を切って蛇の頭に巻きつけた。私は母に言えなかった。大学の時、こっそり彼氏と部屋を借りたことを。2か月後、母の体に鱗みたいな青い斑点が現れて、さらには皮膚が剥がれ始めた。……母は45歳を過ぎてから、特に美に対して興味を持つようになった。数万円のスキンケア製品を買って、数十万円の美容医療やサーマージを試したけど、それでも母のたるんだ肌としわは止められなかった。去年、母は団体旅行で地方に行った。飛行機を降りた時、私と父が車で迎えに行った。でも、彼女はスーツケースを持たず、代わりに木箱を大切そうに抱えていた。母は車の中で興奮した顔をして、「この箱に入っているのは宝物で、高額を払って手に入れた『婆素鶏』の神像だ。これで私はどんどん若返って、肌も少女のように滑らかになるんだ」と言った。私はその話にもう慣れていて、適当に何か言ってごまかした。父はため息をついて、「重金?はあ、また無駄遣いして……」「これは無駄遣いじゃないよ、妻が少し綺麗になることで、あなたの顔に光が当たるんだよ?!」母が怒り始めると、父はそれ以上何も言えなくなった。家に着くと、母は地方の方言で何かを神妙につぶやき始めた。声は小さく、「丁重に招待……蛇の女王が来る……」と言っているようだった。その後、母は箱を丁寧にテーブルの上に置き、三度額を床に付けて頭を下げた。母が頭を上げると、一筋の鮮血が頭頂部から鼻に流れ落ちていた。それを見た私は驚いて急いで薬箱を探しに行った。「お母さん!もうやめて、頭が傷ついてるからまず薬を塗って!」しかし、母は興奮した様子で私の手を掴み、額の傷の痛みなど全く感じていないようだった。「里穂、お願いだから母さんをちょっと手伝って!」「母さん、何か用事があるなら薬を塗ってから話してよ」でも母はまだ私の手をしっかりと握り、父が気づかないうちに私を部屋に引っ張っていった。部屋に入ると、母は目を輝かせながら私に「あれが来た?」と尋ねた。私は深く考えず、母が私の体を心配してくれていると思って、微かに痛む下腹部を押さえながら頷いた。母は笑って、「ちょっと血を貸してくれる?」
最終更新日 : 2024-12-06 続きを読む