夫が浮気をしているからって、私がそれをぶっ壊さなきゃならないの?いやいや、私は上品に横で見物するだけ、あいつらが犬同士で噛みつき合うのを見ていればいい。私は完璧な恋人を装って浮気相手に贈った。こいつがうちの情けない旦那だと思わせるためにね。まあ、誰もこの完璧な恋人がHIVを持っていちゃいけないなんて決めてないでしょ?……最近、夫が少し様子おかしい。異常なくらい変で、それがずっと続いている。まるで重い病気を抱えているみたいに、この二か月間ずっとだ。元々は冷静で落ち着いた人だったのに、今ではすっかりせわしなくなっている。彼は暇さえあればスマホをじっと見て、恋しているみたいに照れくさそうに笑う。私が近づくと、何事もなかったように画面を消す。異常なことがあれば必ず理由があるのは分かっている。でも、具体的にどこがおかしいのかはっきりと言えない。決定的な証拠がないと、軽はずみな行動は取れない。だけど、彼の携帯が鍵を握っているのは間違いない。先週の土曜日の朝、携帯が見当たらないって口実を作って夫のスマホを借りようとしたら、触れた瞬間に乱暴に突き飛ばされた。背中をしっかりした木のベッドにぶつけて、痛みで顔が歪んだ。それでも夫は全然気づかず、壊れたスマホをポケットに突っ込むことに夢中だった。クソ野郎、スマホをそこまで厳重に守るってことは、中に私が欲しいものがあるのは確実だ!強引に取るのが無理なら、自分で方法を考えるしかない。夫がリビングで朝食を食べているのを見て、私はトイレに隠れて山下に電話をかけた。山下は私と夫の大学の後輩で、関係は悪くない。少し前に仕事の都合で新潟に戻ってきたが、忙しくて会う時間が取れなかった。私は電話で、久しぶりに会う山下を今日家に招待して食事をしようと誘った。電話を切って部屋に戻ると、夫はちょうど朝食を終えたところだった。私は急いでアイロンをかけたスーツを手渡し、まるで従順な家庭的な妻のように、彼のネクタイまで結んであげた。「あなた、今晩山下さんが来るから、早めに帰ってきてね」彼がドアを出る直前に私は言った。夫は半分足を外に出したところで止まり、「山下亮?何年も会ってないよな。急にどうして来るんだ?」と聞いた。「少し前にこっちに転勤してきたんだけど、ずっと私たちに会いに来たいっ
Last Updated : 2024-12-06 Read more