キッチンで、私は唇を噛みながら、悲しげに後ろの少年を振り返って言った。「もう私をからかわないで......」少年は私の腰をしっかりと支え、軽く耳たぶを口に含んで、熱い息が私の顔にかかる。低くて少し荒い声で、「おばさん、もう逃げられないんじゃない?」私はゆっくりと目を閉じ、喉の奥からかすかな呻き声を絞り出して言った。「もう逃げない、二度と逃げない......」この少年の名前は天草颯汰、息子のクラスメートであり、私の......一夜限りの相手なんだ。 前々日、親友に誘われてバーに行った。そこで、私は初めて颯汰に会った。 彼は背が高く、冷たい雰囲気を持っていて、夜のクラブにいるような大男には全然見えなかった。人混みの中で少年を見つめる。曖昧な照明が静かに彼の顔を照らし、目が合った。彼は人波をかき分けて私の前に来て、私の頬に耳打ちした。「姉さん、一緒にダンスしてもいい?」少年から漂うほんのりとした香水の匂いが、ダンスフロアの中で浮かぶ恋愛のフェロモンと混ざり合い、私は目が回りそうだった。それは、私が全く抗えないような香りで、初恋の甘酸っぱい記憶に戻された気がした。意識がぼやけていく中で、私は身体の本能に従い、彼にどんどん近づいていった。そして、雨のような熱いキスが私の首筋に落ちてきた。一曲が終わると、私は彼と一緒に、上の階のホテルに向かった。あの夜、私は妻でもなく、母でもなく、ただの一人の女だった。長い間忘れていたその感覚を、私はひたすら求め、それを......私だけの幸せとして楽しんだ。翌朝、彼がまだ寝ている間に、私は慌てて服を着て、急いでその場を逃げ出した。最初は、もう二度と彼に会うことはないと思っていた。でも、まさか彼が再び私の前に現れるなんて思ってもみなかった。今度は、彼の正体が......息子のクラスメートだと知った。私は部屋着姿でソファに横たわり、息子が家に連れてきた少年を見て、ただただ気まずくて恥ずかしかった。特に、彼は見た目は無害そうなのに、あの攻撃的な目つきで私をじっと見つめている。まるで私が服を着ていないかのように。息子はまだ大声でX-boxのゲームを楽しんでいて、リビングルームで徐々に高まる微妙な雰囲気に全く気づいていない。「ちょっとフル
最終更新日 : 2024-11-25 続きを読む