どのくらい時間が経ったか分からなかったが、私が目覚めた時、鼻をつく消毒液の匂いがした。仲村和人は緊張した面持ちで私を見ていた。「少しは良くなったか?他にどこか痛いとことかある?」私は冷ややかな瞳で彼を見つめた。ただものすごく不快に思った。「離婚のサインした?」仲村和人は少し驚き、深いため息をついた。「美咲、もういい加減しないか?考えてみろ、俺達の喧嘩はいつだってお前のせいだろ?ちゃんとした一家庭が、本当におまえのせいで壊されようとしてるんだぞ」私は冷ややかに笑い、目の前にいる仲村和人をじっと見つめた。「あなたが他の女と浮気なんかしなければ、喧嘩なんかするわけないでしょ?結婚の根本的な守るべき忠誠を守っていないあなたが、私を責めるというの?」言い当てられて、仲村和人は軽蔑の眼差しを私に向けた。「他のやつに聞いてみろ。どこの金持ちの男に浮気相手の一人や二人いないと思ってるんだ?男が一人の女だけに一生付き添うって、この世に一体何人そんな奇特な男がいるよ?それに俺が浮気したことにおまえは責任がないっていうのか?結婚してからのこの数年、一体おまえはどんな姿になったよ?全く性欲なんか湧いてこねえよ!」仲村和人の自分のことを棚に上げたその言いっぷりに、私は怒りで呆れて笑ってしまいそうだった。仲村和人に出会ったばかりの頃の私は光り輝いていて、スタイル抜群の美女だった。顔立ちもあの持田芽衣などより数倍も良かった。しかし、結婚後、仲村和人の一回目の事業失敗によって、多額の借金を抱えてしまった。それからの二年間、私は一日に三つのアルバイトを掛け持ちして、お金が稼げる仕事なら、どんなに辛く苦しいことでも私はやった。私は自分の体にムチを打ち、必死に働いてこのような疲れ果てた醜いおばさんの姿へと変わってしまった。私が仲村和人のために犠牲にしてきたことは彼の目には映っていなかった。一度たりとも私をいたわったことすらない。それとは逆に私はいつも彼から言葉の暴力を受け、マインドコントロールされていた。実を言うと。仲村和人を愛しているというフィルターを外してしまえば、彼は本当に良心のかけらもない人間だった。息子もこの先こんなやつを父親と認識する必要はないと思った。「あなたが何人の女と寝たいかなんてもうどうでもいいの
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