時は過ぎ去り、あっという間に三年が経った。この三年で、私は仕事を辞め、貯めたお金で本屋を開いた。おばあさんの体調も少しずつ良くなってきた。しかし、その良い気分は斉藤幸夫を見た瞬間に消えた。夜、店を閉めて帰る途中、車を降りたら、階下に見慣れた長身の影があった。「朝子」斉藤幸夫は大きなバラの束を抱え、深いまなざしで私を見つめていた。三年ぶりの再会で、彼はずいぶん痩せていて、元々端正な顔立ちが、やせ細って青白い顔は、より一層鋭く深く見えた。「久しぶり」彼の期待に満ちた眼差しを見て、私は率直に言った。「あなたがここにいるのを見たくないことは、分かってるはずよ」彼は何も言わず、ただ私を見つめ続けた。月明かりは冷たく白く、彼の顔にかすかな言い表せない孤独感を漂わせているようだった。私は背を向けて去ろうとしたが、彼に手首を掴まれた。彼は目を伏せ、自分のことだけを話し始めた。「中にいる時、俺たちの過去のことをよく思い出していた。今でも覚えてる、あの晩、バーで、あなたが俺のために酒瓶を防いでくれたこと。明らかに痛くて涙が溢れてたのに、それでも笑顔を作って俺を慰めてくれた。その時、こんなに愚かな女の子がいるなんて思ったけれど、後に何度も思った、こんな素晴らしい女の子に出会えたのはどうしてだろう。朝子、信じてもらえなくても、君にプロポーズした時は本当に一緒に老いていこうと思ってたし、ずっと君を大切にしたかったんだ......」「もうやめて」私は彼を遮った。「ここで昔を思い出すつもりはない」斉藤幸夫は深く私を見つめた。「俺が中にいる毎日、君のことを考えていて、自分がどれだけ君を愛してるかを気づいた」「でも、私はもうあなたを愛しさなかった」私は淡々とした口調で言った。斉藤幸夫の顔色が白くなり、しばらく黙っていた。「調べたところ、この三年間、君は新しい恋を始めてないんだ」私は冷笑した。「だから?」斉藤幸夫はじっと私を見つめた。「朝子、君は俺を長い間愛してきたし、一緒に過ごした思い出もたくさんある。君は俺を忘れられないだろう?」私は彼を嘲笑うように見つめた。「三年間の刑務所生活でも、あなたは正常な人間にはなれなかったみたいね。新しい恋を始めないのは、単に一人でもやっていけるからだ。あなたとは関係な
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